「ありがと。じゃ、いただきます」
「いただきまーす!」

優海がぱんっと手を合わせて言った。

「優海はもう食べてるじゃん」とつっこみを入れたら、「今のは味噌汁ついでくれた凪沙に言ったの!」と返されて笑ってしまった。

優海は美味しい美味しいと何度も繰り返しながら、ぱくぱくと料理を口に運んでいく。すごい勢いだ。

小さい頃は食べる量は私とほとんど変わらなかったのに、中学の後半あたりから優海はものすごく食べるようになった。

ご飯は山盛り二杯、部活のあとは三杯食べることもあるし、おかずも二人分くらいならぺろりと平らげてしまう。

痩せているし背もそれほど高いほうではないのに、その身体のどこに入っていくのかと不思議に思うほどだ。

幼い頃から一緒にいて、どこに行くにも何をするにも一緒で、まるで自分の分身みたいに思っていたのに、やっぱり違う生き物なのだと思い知らされて複雑な気持ちになる。

「やっぱりタエさんの煮物は美味いなあ、最高! 味噌汁も美味いよな、落ち着く味っていうか」
「うん。私もおばあちゃんの料理、大好き」
「だよなー。凪沙はタエさんがばあちゃんで幸せだな」

うん、と微笑みながら、視線は自然と玉子焼きに向いてしまう。

まだ箸がつけられていない。優海は玉子が大好物で、好きなものはとっておくタイプだから、たぶん最後に食べるつもりなのだろう。

それでも、気になって落ち着かない。

今日の玉子焼きは、もちろんおばあちゃんに教えてもらいながらだけれど、私がひとりで作ったものだった。