でも、今となってはそんな自分が恥ずかしい。

おばあちゃんに育ててもらったことを恥ずかしいと思っていた自分こそが恥ずかしい。なんてバカで幼稚だったんだろう。


爪の先でつまむようにして、細く細く皮を剥いていく。

昨晩から水につけていたつわぶきの皮は、それでもずいぶんと硬くて剥きにくい。

でも、がんばってきれいに剥いてしっかり灰汁抜きをすれば、しゃきしゃきとした歯応えがあってとても美味しい。

「これ、どうするの?」
「半分は煮物にして、半分は油揚げと炒めようかね」
「いいねー、最高! 楽しみだなー」

おばあちゃんの作るつわぶきの炒め物は本当に美味しくて、近所でも有名なのだ。

「できたら優海くんにも持ってってやらんとね」

それを聞いて、ふと思いつく。

「……ねえ、おばあちゃん。私も一緒に作っていい?」

そう言うと、おばあちゃんがきょとんとした表情でこちらを見た。

「珍しいねえ、どうしたの」
「いや、なにもないけど。なんとなく、作ってみようかなって」
「そうね。じゃあ、一緒に作ってみようね」

おばあちゃんは嬉しそうに笑った。

目尻に優しい笑い皺がたくさん浮かぶ。

その表情を見て、孫と一緒に台所に立つのが嬉しいのだと分かった。

それと同時に、今までそういうことをしてこなかった自分に気づいて、情けなくなる。

たくさん時間も機会もあったのに、下ごしらえの手伝いをすることはあっても、おばあちゃんに料理を教えてもらおうとか代わりに作ってあげようとか思わなかった、おばあちゃん不孝な私。