「よし、分かった! じゃあ、放課後、手帳買いに行こう! 今日は部活休みでしょ? 私が優海にぴったりのやつ選んであげるから」

そう言えば断れないことを分かった上で、私はそう宣言した。

優海は私が選んだものなら絶対に大切にしてくれるし、なるべくきちんと使おうとしてくれるだろう、という我ながら傲慢な自信があった。

私にとって優海が特別な存在であるのと同じように、彼にとっても私は特別なのだ。きっと。

「マジで! 俺のために凪沙が選んでくれんの? 嬉しい!」

案の定、優海は満面の笑みで飛び上がった。本当に単純で扱いやすい。

「よっしゃ、放課後デートだー。今日は部活ないから放課後つまんねーと思ってたけど、凪沙と出かけられんなら元気百倍だぜ!」

「それ以上元気にならなくていいよ、うるさいから」

「うるさいとか、冷たい!」

「はいはい、わかったから。じゃあ、放課後また再テストにならないように、ちゃんと日本史の勉強してね」

「よし、がんばる!」

優海はにこにこしながら小テストの範囲の復習を始めた。

「ほんと単純なやつ」と黒田くんや真梨が笑いをこらえている。

「優海を動かすには日下さんがいちばん効果てきめんだな」

「三島くんて本当に凪沙のこと大好きだよね。こんなラブラブなカップル見たことない」

「溺愛だよな。それを隠さないところがまたすごい。裏表のない優海らしいというか」