いくつもの教科で赤点をとって夏休みは補習三昧になり、部活に行けない上に試合にも出られないという、優海にとっていちばんつらい展開になるのが目に浮かぶ。

「だから、テストまであと二週間、ちゃんと勉強しなきゃ! ね」

「分かった! 俺がんばる!」

素直なところが優海のいちばんの取り柄だ。

口車にのせるのが楽で助かる。

「じゃ、これからは、課題とか予習とか小テストの予定とか、先生からの呼び出しとか、ちゃんとメモすること。そして、期末テストに向けて計画的に勉強すること! ちゃんと計画立ててメモしとくんだよ?」

「んー、メモなあ。たまにメモ書いたりするけど、その紙失くしちゃうからなー、あんまり意味ないっつーか」

「失くすような紙に書くからだめなんだよ。メモ帳とか手帳とかに書かなきゃ」

「そんなん持ってないもん」

「んー……」

優海は昔から、その大らかすぎる性格のせいか、細かいことを気にするのが苦手だ。

だから、メモもほとんどしなくて、そのせいで提出書類を忘れたりしてよく先生に叱られていた。

細かいところにこだわらないのは優海の性格のいいところとはいえ、あまりにも大雑把で忘れっぽいと、社会に出てから困るわけで。

高校や大学の間に少しは成長して、社会人になるまでには何とかなるかなと思っていたけれど、そんな悠長なことは言っていられない。