嬉しくて、嬉しくて、また泣けてきた。

一度死んで、もう一度与えられた時間を、凪沙は俺のために使ってくれていたのだ。

怖かっただろうに、つらかっただろうに、自分のことよりも、俺の悲しみを少しでも減らそうと、こんなことをしてくれていたのだ。

凪沙、凪沙、と俺は心の中で叫んだ。


凪沙との思い出を辿りながら、アルバムを下にスクロールしていく。

いちばん最後のファイルを見て、どくっと心臓が跳ねた。

それは、写真ではなく動画だった。

しかも、俺ではなく凪沙の。


自分の部屋に座り、桜貝のネックレスをつけて、こちらを見ている凪沙。

俺は吐きそうなほど激しく動悸する胸を拳で押さえながら、再生ボタンを押した。

『優海』

いつもの声で、凪沙は俺を呼んだ。

途端に、恋しさが洪水のように押し寄せてきて、俺の目から涙が一気に溢れだした。

画面の中の凪沙が、まるで俺のことが見えているかのように、ふふ、と優しく笑う。

『どうせ泣いてばっかりいるんでしょ』

からかうように言って、凪沙はまた笑った。

『ちゃんとご飯食べてる? ちゃんと夏休みの宿題進めてる? もうすぐ出校日だよ、提出物あるの忘れてない?』

本当にいつもと変わらない口調と、何事もなかったかのような表情。

凪沙、凪沙、凪沙、と呻きながら、俺は画面を凝視した。

『もう高校生なんだから、しっかりしなよ。……って、いっつも言ってたけど、本当は、優海は誰より頑張ってるって知ってるよ』

凪沙が指先で髪の毛をいじる。

照れくさいときの凪沙の癖だ。

懐かしくて、さらに涙が溢れた。

『最初はね、手紙にしようと思ってたんだけどさ、いざ書こうと思うとなんか恥ずかしくって、動画にしてみた。でも、こっちもかなり恥ずかしいな……』

くすくすと凪沙が笑う。