「なぎちゃんも大人になったねえ」

おばあちゃんが味噌汁をすすりながらしみじみと言った。

「この間まで幼稚園だったような気がするのに、あっという間だねえ。きっと気がついたら成人式なんだろうねえ……」

少し寂しそうに言うおばあちゃんに、私は「まだまだ先だよ」と笑って答えた。

「でも、本当におばあちゃんには感謝してるよ。いきなり連れてこられて、しかもお母さんはいなくなっちゃって、それなのにここまで育ててもらえて、本当に私は幸運だったなって思う」
「そんなの当たり前よお、可愛い孫なんだから」
「ううん、本当におばあちゃんはすごいなって思う。今までありがとね」

これからもよろしく、と付け加えると、おばあちゃんは「もちろんだよ」と笑った。

こんなに喜んでくれるのなら、これまでもいくらでも機会はあったんだから、たくさんたくさん『ありがとう』を伝えておけばよかったな、と思った。


食事の後片付けを終えて、部屋に戻る前、私はおばあちゃんの前に正座して口を開いた。

「あのね、おばあちゃん。お願いがあるんだけど……」