私は死んだらいけなかった。

優海のために、死んだらいけなかった。

彼を置いて死んだりしたらいけなかった。

それなのに、死んでしまった。

優海をこんなふうにしてしまった。


燃え尽きた灰のように色も生気も失ってしまった彼を見て、胸が張り裂けそうなほど苦しかった。


私は死ねない。

このままじゃ死ねない。

声にならない声をあげて叫んだ。


その瞬間、目の前で光が弾けて、何も見えなくなった。

真っ白になった視界がしばらくして色を取り戻したとき、私は海の中にいた。

目の前には、龍神様の石があった。

そして、声が聞こえてきた。

『あなたの未練は何ですか』と。

私は『優海』と答えた。

『優海をひとりにしてしまったこと』

そう即答してから、少し考えてさらに言った。

『優海と近くなりすぎてしまったこと。優海をひとりでは生きていけなくしてしまったこと』

こんなことになるなら、優海とずっと一緒に生きることができないのなら、私は彼と想いを通じ合うべきじゃなかった。

いつも隣にいて、彼が私なしでは生きられないようになんて、するべきじゃなかった。

いつでも離れられるように、もっと距離をとっておくべきだった。

バカな私は、思い込んでいたのだ。

優海とずっと一緒にいて、一緒に年をとって、一緒に死んでいけるのだと。

そんなはずはないのに、永遠に一緒にいるなんてできるわけがないのに、そう思い込んでしまっていた。

だから、こんなにも優海を苦しめることになってしまった。

全身がちぎれそうなほどの後悔だった。