「……は?」

やっと私の言葉の内容を理解したらしい優海は、それでもやっぱり信じられないという表情をしていた。

「え、え、え? ちょっと待って、意味分かんないんだけど。どういうこと?」

ぐしゃぐしゃと髪をかき乱しながら動揺を隠さない彼に、私はまた同じことを繰り返す。

「だから、私はもうすぐ死ぬって決まってるってこと」

淡々と話さないと、一気に堤防が崩れてしまいそうだったから、とにかく平坦な口調を心がけた。

「もうすぐ私の寿命が終わる。それは絶対に決まってるの」

優海の顔からみるみるうちに表情が抜けていき、紙のように真っ白になった。

マネキンにでもなったかのように固まり、言葉を発しない。

しばらくしてから、消え入りそうな声で彼が言った。

「……病気?」

そうか、こういうふうに言うとそう思われるのか。

私はふるふると首を振った。

「違うよ。どう見たって元気でしょ。いたって健康体です」
「じゃあ、なんで……」

呟いた優海が、はっと目を見張った。

「まさか、自殺するつもりなのか……!?」

私はふっと笑みをこぼして、また首を振った。

「自殺なんかするわけないじゃん」
「だよな……。もしかして、誰かに狙われてるのか? ストーカーか!?」
「あははっ、ないない。あるわけないじゃん。事故だよ、事故。ただの事故」