優海が嬉しそうに言ったとき、ちょうどドリアとピザが運ばれてきた。

うまそー、と笑いながら優海がピザを切りはじめる。

「凪沙、ピザ食べてみる?」

ふいに訊ねられて、私は頷いた。

「じゃあ、一枚もらおうかな」
「よっしゃ。じゃあ、こいつをやろう」

優海が取り皿にのせて私に渡してきた一枚は、いちばん大きくて具もたくさんのっているものだった。

「え、いいよ、こんな大きいのいらない。優海が食べなよ。そっちのいちばんちっさいのちょうだい」

そう言って優海のほうに戻そうとしたけれど、彼はそれを押し返してきた。

「いーの。いちばん美味そうなとこ凪沙に食べてほしいから」

そう言われると無下に断るのも気が引けて、私はありがたくいただくことにした。

そのお返しに、私は自分のドリアのいちばん美味しそうなところを取り分け、さらに優海の好きな海老を加えて彼に渡した。

「えー、めっちゃ贅沢なの来た! 凪沙優しいー!」

それはこっちの台詞だよ、と思う。

優海が純粋な優しさをくれるから、ひねくれ者の私も思わず優しさを返したくなるのだ。

彼に優しくされた人は、きっと彼にも優しくしてくれるだろう。

そうだといいな、と願う。