目的の駅に着いて、私たちは試合会場の高校へ向かって歩き出した。

私も優海も行ったことのない学校だったけれど、バスケットボールの描かれた服を着ていたり、バッシュを鞄から下げていたり、ボールバッグを持っていたりする生徒たちがぞろぞろ歩いているので、それについて行けば難なくたどり着けそうだった。

高校の看板が見えてきたころ、優海がふいに思いついたように口を開いた。

「そういえば、ずっと気になってたんだけど」
「なに?」
「そのバッグ、何が入ってんの?」

彼が指差したものを見て、思わず固まる。

私が右手に提げているトートバッグ。

反射的に後手に持ちかえて優海の目から隠そうとしたけれど、ひょいっと覗きこまれてしまった。

「あ、弁当か」

ばれた、と気まずくなる。

見るからに用途の明らかな弁当袋に入れて来てしまったので、ごまかすこともできそうになかった。

「なんかでっかそうだな。凪沙そんなに食えたっけ?」

うん……とあいまいに頷いたら、すぐに優海が怪訝そうな表情になった。

目をそらす私の顔を覗きこむと、みるみるうちに優海の目が輝きだした。

「え……っ、ちょっと待って、もしかしてもしかして、俺の!?」

ああもう、こんなときだけ妙に鋭いんだから。

私は諦めて頷いた。