「だから、信じてるんだ。俺の家族はあんなふうに死んじゃって悲しいし、なんでって思うけど、それでも俺は、神様はいるって信じてるよ。信じる者は救われるって父ちゃんが言ってたのも、信じてる」

私はどうしたって優海のように純粋で綺麗な心は持てそうにない。

今でもどうしても神様を許せない。

次から次に優海の愛するものを奪っていく神様を、どうしても許せない。

ぎゅっと胸が痛んで、それをかき消すために彼の手を強く強く握った。

「だって、俺は凪沙と会えたし、しかも付き合えたし。きっと神様を信じてたから、神様がごほうびに凪沙と出会わせてくれたんだよ」

ああ、この先はもう聞きたくない。

耳を塞ぎたくなったけれど、私は黙って彼の言葉に耳を傾けた。

「俺には凪沙がいるからいいんだ。凪沙が隣にいてくれるなら、それでいい。俺は凪沙がいてくれればいい」

噛みしめるように優海が囁くのを聞いて、やっと落ち着いていた涙がまた一気に込みあげてきた。

私がいればいい、という言葉は、もちろん嬉しいけれど、それ以上に悲しかった。

悲しくてつらくて苦しかった。