それでも優海は、愚痴も不満も悪口も決して口にしなかった。

その親戚は、今でも書類上は優海の保護者ということになっているらしい。

最悪な人間とはいえ、彼にとって他に保護者になりうる人はいないので、仕方がないのだ。


家族を失い、信頼していた人たちに裏切られた優海は、大好きだった野球まで奪われた。

野球は道具や遠征にお金がかかるので続けられないという理由で、中学ではバスケ部に入ったのだ。

その決断を聞いたとき、あんなに夢中になって熱中していた野球をやめなければならないなんてあまりにも可哀想で、私は自分のことのように悔しくて泣いた。

それでも優海は、バスケも面白いスポーツだから大丈夫と笑って、私を慰めてくれた。


そうして優海は、いくつものものを奪われながら、それでも決して絶望したりせず、太陽みたいな明るさで生きてきたのだ。