新聞紙で包まれた花を受け取り、代金を払って、生花店を出た。

外はすっかり夜の気配を失い、もう真昼のような明るさだ。

寺のすぐ裏手は緑深い山になっていて、あたり蝉の声に包まれている。

霊園に入ると、視界の端から端まで、すべて墓石で覆い尽くされた。

無数に立ち並んだお墓を見ていると、こんなにたくさんの人が亡くなったのか、と妙な感慨がある。

こういう景色を見ると、人の死なんて実にありふれたものに思えるけれど、実際に死が自分の身に降りかかったり身近な人を失ったりしたときには、あんなにも苦しくて悲しくてつらいのだから不思議だ。


水場のところで貸し出し用の桶に水を汲み、目的の場所へ向かった。

『三島家之墓』。

ここに来たのは二度目だ。

優海の家族のお葬式のあとに行われた納骨の儀式のとき以来。

この中に、あの優しい人たちの骨が納められているのだと思うと、悲しくてやるせなくて、どうしても来る気になれなかった。

でも、いつまでもそんな甘えたことは言っていられないので、今日は、試合の前にお参りをするという優海について来ることにしたのだ。