優海の言葉通り、生花店のシャッターはすでに上がっていた。

古い店で、最近のいわゆるフラワーショップとは似ても似つかない和風な雰囲気だけれど、青いポリバケツに生けられたたくさんの花たちはみんな生き生きしていて瑞々しく、大切にされているんだなと分かった。

「こんにちはー」
「あら、いらっしゃい、優海くん」

優海が挨拶をしながら店内に足を踏み入れると、奥のレジ台に座っていたおばさんが微笑んで立ち上がった。

どうやら優海はここでも可愛がられているらしい。

さすがの人懐っこさだ。

「今日もお墓参り? いつも偉いわねえ」
「うん、今日試合だから。困ったときの神頼みってやつ。いや、家族頼みか?」
「ふふふ、優海くんのことなら、ご両親も弟さんも一生懸命応援してくださるでしょ。きっと勝てるわよ、自信もって頑張って」
「おー、ありがとおばちゃん! あ、いつもの感じでお花よろしく」
「はいはい、お任せください。今日もちょっとおまけしちゃうからね」
「わー、ありがとう!」
「いえいえ、こちらこそ」