「手え出して。つけてあげる」
「おう! よろしく」

優海が満面の笑みで開いた右手を私の前に差し出してきた。

どうか願いが叶いますように、と祈りながら、私はまるで何かの儀式のように丁寧な手つきで、たくさんの思いをこめて、優海の手首に太陽色のミサンガを結びつけた。

「よし、完了」
「ありがと! やっばい、めっちゃ嬉しい!」

にへへ、と笑いながら優海が自分の手首のミサンガを愛おしほうに見つめた。

「すげーなあ。これつけてたら願い叶っちゃうとか! お前そんな超能力もってんのか、やべーな」

感心したようにミサンガに話しかけるので、私は肩をすくめる。

「何言ってんの。あげた私が言うのもなんだけど、ただの迷信でしょ」
「えっ」
「ったく、あんたはどうしてそう、なんでも本気で信じちゃうかなあ」
「えー、だって、信じる者は救われるからさあ」

言葉だけでなく、優海は本当に心から信じてしまうのだ。

あまりにも純真無垢になんでも信じてしまうので、心配になってしまうほどだ。

「大事な忠告ね。そうやってなんでもかんでも疑わずに信じちゃったら、いつか悪いやつに騙されちゃうよ」

私は真顔を作って優海の目をまっすぐに見て言った。

本気で言ってるんだよ、と伝わるように。

でも、優海はどこ吹く風で、「そうかなあ」と笑っただけだった。

私は真剣に心配しているのに、困ったやつだ。

騙されても知らないよバカ、と私は心の中で少し寂しく毒づいた。