月明かりの砂浜で話した翌朝には、私たちはすっかり元通りになった。

今までと同じように軽口を叩きながら自転車をこいで学校に行き、授業を受けて、合間にまた軽口を叩きあって、本当にこれまでと変わらず過ごしている。

あんなひどい別れ方をして、ほとんど口もきかずに離れていた期間があって、よりを戻しても気まずくなってしまうのではないかと少し思っていたのだけれど、幼い頃からずっと共に過ごして育んできた関係は、そんな数日間ではちっとも壊せないほどに強かった。


「大会って何時からだったっけ?」

教室に入り、帰り支度をしながら優海に訊ねる。

「俺たちの試合は十時からで、勝ち進んだら二試合目が二時から。勝ったら三試合目が次の日!」
「そっか。がんばってね」
「おう! まあでも、二回戦でいきなり優勝候補に当たるからなあ。初日で終わっちゃうだろうけど」
「そうなんだ。運悪いね」
「でも、上手いとこと対戦できるのラッキーっちゃあラッキーだからな。どんなプレーすんのかなーとか、どんな作戦なのかなーとか、楽しみだよ」

相変わらず、バカがつくほど前向きだ。

いつもなんでも悪いほうに考えがちな私からすると、ポジティブすぎてうらやましくなる。