どうやら私は思った以上に優海に依存していたらしい。

彼のほうが私に依存していて、このままではいけないからなんとか自立させないと、と思っていたけれど、私の勘違いだったかもしれない。

たぶん、きっと、私のほうがずっと優海に依存していたのだ。

でも、それももう終わり。

これで最後にするから、だから神様、今だけはこうしていさせて。

私は眠たいふりをして、優海の肩に頭をのせた。


しばらく目を閉じていたら、ふいに優海が少し身じろぎして、「凪沙、ちょっとごめん」と囁いてきた。

顔をあげると、近くに少し腰の曲がったおばあさんが立っていた。

今の停車駅で乗ってきたらしい。

見渡すと、席は全部うまっていた。

なるほどそういうことか、とすぐに状況を把握する。

一応ちらりと隣の優先席に目を向けてみると、携帯電話の画面に夢中になっている大学生らしい女の人と、イヤホンで音楽を聴きながら腕組みをして目を閉じている若いサラリーマンが座っていた。

どちらも譲る気はなさそうだ。

優海のほうに向き直ると、彼は席を立っておばあさんに「どうぞ」と声をかけていた。

おばあさんは少し申し訳なさそうに「すぐ降りますから」と言ったけれど、優海は笑顔でなぜか張り合うように「いや、俺のほうがすぐなんで!」と答える。

「おばあちゃん、座って」
「あらそう、ごめんなさいねえ、ありがとう」

おばあさんは会釈をしながら私の隣に腰を下ろした。