その晩、夢を見た。

私はひとりで学校の廊下を歩いている。

前には、手をつないで歩く優海と美紅ちゃん。

私はふたりの背中を見つめながら、彼らの後ろを少し離れてついていく。

でも、私たちの距離はどんどん開いていって、いつの間にかもう走っても追いつけないほどになり、最後には姿さえ見えなくなるのだ。

そういう夢。

目が覚めたとき、少し泣いた。

それは悲しいとか寂しいとか悔しいとかではなくて、ただただ自分の覚悟の弱さと執着の強さと欲深さに絶望した涙だった。


まだ夜明けは遠く、眠気はすっかりなくなっていたけれど布団の中にもぐって目を閉じていたら、いつの間にかうとうとしていた。

すると、また夢を見た。

私は夜の海岸を歩いている。

藍色の空には白い満月が浮かんでいて、真っ黒な海面に揺れる月が映っていた。

月の光を浴びた砂浜は、白く輝いている。