美紅ちゃんに呼び出された優海は、昼休みが終わるまで戻ってこなかった。

これはきっと上手くいったってことだろうな、と安堵する。

それでこそ、私があんなふうにこっぴどく優海を振ったかいがあったというものだ。

これでいい。よかった、私の思い通りだ。

何も問題ない。これで全てが上手くいく。

確かにそう思っているのに、どうしてだろう。

全身の力が抜けてしまって、微動だにできない。

私は椅子の背にもたれて、ぼんやりと窓の外を見ていることしかできなかった。

五時間目のチャイムが鳴る寸前に、優海が教室に戻ってきた。

その顔を直視することなんてできなくて、私は反射的にうつ向いた。

それから眠気を装って両手で顔を覆い、残りの二時間はずっと下を向いたままやり過ごした。

優海の姿が視界に入らないように。