「……いいの?」

ぽつりと真梨がつぶやき、私はぱっと振り向いた。

お弁当のおかずを箸でつまんだままの姿勢で、彼女はじっと私を見ている。

「ごめんね、もう何も言わないって言ったのに。でも、これで最後だから、これだけは言わせて」
「………」
「あれ、きっと告白するために呼び出したんだよね? 本当にいいの? このままで。三島くんを追いかけなくていいの?」

私はふっと唇に笑みを浮かべた。

「……追いかけちゃだめなの」

きっぱりと言い切ると、真梨は口をつぐんだ。

「心配してくれてありがとね、嬉しい。でも、大丈夫だから」

ね、と念を押すように笑いかける。

「これがいちばんいいの。いちばん正しいの。だから、いいんだよ」
「……そっか」
「うん」
「ごめん、余計なお世話だったね」
「全然! 真梨の気持ちはほんとに嬉しい。ありがと、大好き」

そう言って抱きつくと、真梨は困ったように笑った。