その日の昼休み、お弁当を食べていたときのことだった。

「おーい、三島ー」

教室の前方から優海を呼ぶ男子の声に、私は思わず顔をあげた。

つられたように真梨もそちらへ目を向ける。

「ちょっとこっち来てー」

優海に向かって手招きをしている彼の背後に、小さな頭が見えた。

美紅ちゃんだ。

身体を固くして、緊張を隠しきれない様子でひっそりと立っている。

「おー、分かった、ちょい待って」

優海が購買のパンを口に押し込みながら立ち上がる。

そうか、今日だったか、とカレンダーの日付を見て思った。

優海の姿を目で追っていると、美紅ちゃんが私に気づいて肩を震わせたのが分かった。

私はにっこりと笑って、『がんばって』のガッツポーズを贈る。

どうか上手くいきますように、と神様に祈りながら。