プライベートなことをわざわざみんなに宣言したのは、私の本気度を優海に分からせるためというのももちろんあったけれど、理由はもうひとつある。
むしろこちらのほうが本命の目的だ。
美紅ちゃんに会ったのは、優海と別れて三日目の朝だった。
一時間目の教室移動で音楽室に向かう途中、真梨と歩いていたら、たまたま向こうから彼女がやって来た。
あちらのクラスも教室移動らしく、教科書やペンケースを胸に抱えている。
こちらに気がついた美紅ちゃんは、どうしていいか分からないような複雑な顔で私を見てからすっと目を背けた。
そこであえて「こんにちは」と声をかけると、彼女はびっくりしたように肩をすくめて顔をあげた。
「あ……あの、」
何かを言おうと口を開いた彼女を手で遮り、
「聞いてると思うけど、そういうことだから」
と軽い声音で言った。
「だから、前に言った通り、私の言葉は気にしないで豊原さんは豊原さんがしたいようにしてね」
「そんな……」
「私はもう吹っ切れてるっていうか、あいつのことはすっかり忘れて次に目が向いてるから。じゃ、そういうことで」
にっこりと笑って手を振り、彼女の横をすり抜けた。
よし、今回は上手くいった、とほっとしていると、隣の真梨に「凪沙」と小さく呼ばれた。
むしろこちらのほうが本命の目的だ。
美紅ちゃんに会ったのは、優海と別れて三日目の朝だった。
一時間目の教室移動で音楽室に向かう途中、真梨と歩いていたら、たまたま向こうから彼女がやって来た。
あちらのクラスも教室移動らしく、教科書やペンケースを胸に抱えている。
こちらに気がついた美紅ちゃんは、どうしていいか分からないような複雑な顔で私を見てからすっと目を背けた。
そこであえて「こんにちは」と声をかけると、彼女はびっくりしたように肩をすくめて顔をあげた。
「あ……あの、」
何かを言おうと口を開いた彼女を手で遮り、
「聞いてると思うけど、そういうことだから」
と軽い声音で言った。
「だから、前に言った通り、私の言葉は気にしないで豊原さんは豊原さんがしたいようにしてね」
「そんな……」
「私はもう吹っ切れてるっていうか、あいつのことはすっかり忘れて次に目が向いてるから。じゃ、そういうことで」
にっこりと笑って手を振り、彼女の横をすり抜けた。
よし、今回は上手くいった、とほっとしていると、隣の真梨に「凪沙」と小さく呼ばれた。