「う、ううん」
 
私は放心したまま、弱く首を振る。

「さ、最近は、どんな話したの? 晃樹さんと」
「んー……ああ。この前、美亜が風邪引いた時、チョコを大量に食ってたって話もしちゃった、バイトん時に」
「お兄ちゃん、口、軽……」
「晃樹にだけだよ。あいつは口固いし、信用できるヤツだから。学部も心理学系だし」
 
ああ、なんか解けてきた。
お兄ちゃんがお見舞いに来た数日後に、ウソツキさんがわざわざ家まで押し掛けてきた理由も、私の家を知っていた理由も、父親のことを知っていた理由も。
 
なんだ……そうだったんだ。
ウソツキさんは、お兄ちゃんの友達だったんだ。
それなら、いろいろと知っていて当然だ。

ようやく腑に落ちた私は、気になっていたことを遠まわしに探ってみることにした。