歩いていると、孤独と不安でどんどん精神がぐらついてくる。本当に吉木と会えるだろうか。彼は無事なんだろうか。私が行って助けられるレベルなのだろうか。 だけど今は、歩くしかない。私は自分の頬をバシンと叩いて、気合を入れ直した。その時、ぽたりと手の甲に冷たい雨粒が乗っかった。 「雨だ……」 銀色の空を見つめて、私は少しの間だけ目を閉じた。