私はまた、この大切な人たちと出会える日が来るだろうか。勇気を出して、向き合える日が来るだろうか。
「よかったね宗方くん、好きって言ってもらえて」
「万里と同等の意味合いで、だけどな」
「そう、フレンドとしてね」

受け入れてもらえなかったどうしようという不安を拭って、一歩踏み出せる日がくるだろうか。
今は分からないけれど、そうであってほしい。未来の自分は、そうであってほしい。
誰かと向き合って生きていくことに、逃げない自分であってほしい。

「ありがとう、私たちも、詩春が大好きだよ」

白に近い、薄ピンク色の桜が、私たちの頭上で咲き誇っている。
この後、春が再び訪れても、私たちは数年会うことはなく歳を重ねていくのだけれど、この時、万里達に好きだと伝えられたことだけは、本当に良かったと心から思う。

大切な人にこそ、言葉で想いを伝えなきゃいけないんだって、この日に教えてもらったんだ。