「……菜乃花? 何、言われた?」 「う……ううん、別に、何も……」 ──ゆらゆらと風に揺れる、アイボリーのカーテン。 耳の奥で木霊する、冷たい言葉。 大好きなはずのこの場所で、大好きな朝陽の隣で、私は今、幸せなはずなのに……。 『──気持ち悪い』 「菜乃花……?」 胸が、痛い。 私はぼんやりと宙を見つめたまま、ただ、その場に立っているのがやっとだった。