「あ、あの。陸斗くん、今のは流石に──」

「勘違いするなよ」

「へ?」

「お前のほうが、多少はマシってだけだから」

「あ、あの?」

「あの、面倒くさそうな女より、お前のほうが隣にいて無害そうだったから、阻止しただけ」


そこまで言うと、陸斗くんは私から視線を外して、再び前を向いてしまった。

私はやっぱり、呆然とその綺麗な横顔を眺めることしかできなくて……。

──難しい。同じ"山田"でも、全然違った。

朝陽と同じ苗字で、同じように整った顔立ちをしていても、朝陽と陸斗くんの中身は似ても似つかないのだと、私はまざまざと思い知らされた。