『なぁ、りっくんも行くだろ、二人の結婚式!』
それはあの二人の結婚式への招待状だ。
俺はたった今取りだしたばかりのハガキだけを封筒の中に戻すと、ピアノ椅子から立ち上がった。
「行かねぇよ」
『えー!! なんでだよ!! なのちゃん、りっくんが来たら絶対喜ぶのに! 何よりなのちゃんのウエディングドレス姿、見たくないのか!?』
抗議の声を上げるリュウと繋がる携帯電話を、スピーカーホンにして椅子の上に置く。
窓の前まで歩を進めると、春の風が優しく、頬を撫でた。
今でも瞼を閉じれば鮮明に、アイツと過ごした日々が思い浮かぶ。
ここで泣き、笑いあった眩しい日々が、甦る。