「あ……」
惜しくも、希望の席の右隣を引いてしまった私は、嬉しい気持ちと残念な気持ちと半分半分くらいの複雑な思いで、重い机を抱えて席を移動することとなった。
すると、私よりも早々に席を移動してきていたお隣さんが目に入り、つい隣で固まってしまう。
……山田 陸斗(やまだ りくと)くん。
色素の薄い栗色の髪に、二重だけどキリッとした目元と、筋の通った鼻。
がっしりとしているわけではないけれど、引き締まった身体。背は私よりも頭一つ分ほど高かった。
どこか人を寄せ付けないオーラを醸し出す彼は、クラスの男子の中でも一匹狼的存在だ。
けれど、女の子たちはそういう男子に惹かれるお年頃。
ただしイケメンに限る、なんて言葉が出てきそうだけれど、朝陽に見慣れている私が見ても、陸斗くんはとても整った容姿をしていた。