「ほら、早く謝れ。そうしないと、お前のせいでいつまでも、授業が始められないだろう」
再び嘲笑混じりに急かされて、私は俯いたまま廻れ右をさせられた。
私のせいで、クラスのみんなに迷惑を掛けたんだから謝るのは当たり前。
頭ではわかっていても、今、みんなに顔を向けるのが、恥ずかしくて、たまらない。
「ご、ごめんなさい……」
それでも私は俯いた顔を上げられないまま、精一杯声を振り絞った。
すると先生が「聞こえないぞ」と茶化し、再びクラスメイト数名が笑い出した。
「ほら月嶋、もう一回。今度は聞こえるように大きな声で言いなさい」
……ねぇ、どうして?
だって先生は、私のこと、全部知っていたでしょう?
私がADHDであることも、全部全部知っているくせに。
それなのに先生は、私に用事を言いつけた。
私のことを知っていながら、今、こうしてみんなの前で責め立てて、吊るし上げるんだ。
「おい、月嶋、早くしろ」
ドン、と背中を押されて身体がフラリとよろめいた。
そこでふと……私はようやく、あることに気がついたのだ。
今思うとこの先生は、最初から私という人間に興味がなかったのだろう。