もしかして……だから、さっきも私の課題を、手伝おうとしてくれた?
突然のことに驚きすぎて、思わず先生みたいなんて言ってしまったけれど、実は照れたとか?
「ふ、……あ、あははっ」
「……なんだよ」
突然笑いだした私に驚いたのか、陸斗くんがノートに向かっていた顔を上げた。
不審そうに眉根を寄せて私を見る彼が、なんだかとても、身近に感じる。
「だって普段は教室で席が隣なのに、全然目も合わないし、一言も話さないのに可笑しくて……」
「それは、お互い様だろ。っていうか、別に、話すこともないから仕方がない」
「あはは、うん。確かにそうだね。仕方ないね」
本当に、なんだかすごく不思議な感じだ。
教室では会話もしないのに、ここではこうして向かい合って勉強してる。
陸斗くんは難しくて、ちょっとだけ怖い人かも……なんて思っていたのに、全然違った。
相変わらず掴みどころのない人だとは思うけど、朝陽と同じで……とても。とても優しい、人だった。