「えーと……今日は、数学のノートを家に忘れてきちゃった。昨日の夜、部屋の机に置いといたんだけど、朝、鞄に入れることを忘れたみたい」

「そうか。じゃあ、今度からは机に置かずに、夜のうちに鞄に入れるといいな」

「うん……やってみる」


まるで、小学生が親に諭されているみたい……なんて。そんなことを考えたら、つい苦笑いがこぼれた。

小学生の頃も、中学生の頃も、高校生になった今でも私は忘れ物をする癖が治らない。

治らないというか、治せないのだ。

小学生の時にはクラスで、忘れ物女王だなんて呼ばれていたこともある。

ニ日連続、忘れ物をすることは当たり前で、途中からは担任の先生も注意することを諦めていた。