「な、何かあったの?」
「うん、ちょっと店で……」
日向君が私の前を通った瞬間、香水の匂いがした。鼻の奥を刺すような甘い香りは、明らかに女物の香水だ。日向君はそんな私に気づいたのか(あるいは心を読んだのか)、一瞬悲しそうな表情になった。
「客が、香水ひどくて……」
日向君はだるそうにエナメルバッグを机に置いた。
「あ!」
そのとき、私はみんなが振り返るくらい大きな声を上げてしまった。もちろん日向君もびっくりしたように私を見ている。私が声を上げた理由は日向君のバッグの中身にあった。そう、それは今朝見たあの昼ドラの人が着ていた黒シャツにそっくりだったからだ。シャツへの視線に気づいたのか、日向君は不思議そうに尋ねてきた。
「シャツがどうかした?」
そう聞くってことは、今はオフか。少し安心……でも、どう答えたらいいのか戸惑っていると、間髪入れずにりさが突っ込んだ。
「あー、いかにも今朝言ってた昼ドラの男の人が着てそうな服だねーっ」
私が言葉をにごしているのにも全く気づかずに、りさは日向君の黒シャツを指差した。
「……昼ドラ?」
日向君は小首を傾げて聞き返した。
「うん、ちょっと店で……」
日向君が私の前を通った瞬間、香水の匂いがした。鼻の奥を刺すような甘い香りは、明らかに女物の香水だ。日向君はそんな私に気づいたのか(あるいは心を読んだのか)、一瞬悲しそうな表情になった。
「客が、香水ひどくて……」
日向君はだるそうにエナメルバッグを机に置いた。
「あ!」
そのとき、私はみんなが振り返るくらい大きな声を上げてしまった。もちろん日向君もびっくりしたように私を見ている。私が声を上げた理由は日向君のバッグの中身にあった。そう、それは今朝見たあの昼ドラの人が着ていた黒シャツにそっくりだったからだ。シャツへの視線に気づいたのか、日向君は不思議そうに尋ねてきた。
「シャツがどうかした?」
そう聞くってことは、今はオフか。少し安心……でも、どう答えたらいいのか戸惑っていると、間髪入れずにりさが突っ込んだ。
「あー、いかにも今朝言ってた昼ドラの男の人が着てそうな服だねーっ」
私が言葉をにごしているのにも全く気づかずに、りさは日向君の黒シャツを指差した。
「……昼ドラ?」
日向君は小首を傾げて聞き返した。