自分のスリーサイズを知って愕然とした。寸胴にも程がある。わたしのご先祖様ってどこまで遡ってもきっと日本人なんだろうな。
採寸に来てくれていたスポーツ用品メーカーのお姉さんには「健康的でいいね」なんて言われたけど、なんか、それってぜんぜん褒められてる気がしないや。
大丈夫かなあ。思い返せばチアって、雪美や和穂を筆頭に、キレイな子やスタイル抜群な子しかいなかったような気がするんだけど。
やっとすべての仕事が終わり、じりじりと照りつける太陽のもとへ飛び出した。ふうとひとつ息をつく。
なんだかちょっと、緊張している。
チアの声がかすかに聞こえてくる。
いまからあそこに参加するんだ、と思った。
期待と、不安と、半分ずつくらいだ。
「……あ!」
いきなり、背後からデカイ声が聞こえた。なにかと思って振り向くと、まだ制服姿の倉田くんが、少し遠い場所に立ってこちらを見ていた。
なんで、ここに? なんで、制服? 野球部、もうメチャクチャ部活中なんですが。
「村瀬さんっ」
無邪気な声に元気よく呼ばれた。思わずハイっと答えると、彼はうれしそうにこっちへ駆け寄ってきたのだった。
「なにしてるんですか?」
「それはこっちの台詞だよ。部活は?」
なぜか倉田くんが言葉に詰まる。続きを待っていると、彼は言いづらそうに、そして恥ずかしそうに、おずおず口を開いた。
「……英語の再試受けてて」
たぶん、こないだの前期中間テストのやつかな。
「ありゃ。英語苦手なの?」
「いや、全部……人並み以下で、おれ」
はたと思い出す。そういや、涼がそんなことを言っていたっけな。『赤点ばっか』。
「実は、あと1教科でも赤点とってたらレギュラー落ちしてました」
しゅんとしながら言う姿はやっぱり子犬のようで、胸の奥のほうがどうにもくすぐられた。
「でもレギュラーになれたじゃん。おめでとう。がんばったんだね!」
カッターシャツから伸びている日焼けした腕を、励ますようにぽんと叩いた。同時に倉田くんが顔を上げる。ぱあっと明るくなった瞳が、あんまり素直すぎて、笑っちゃう。