きみの夏へかけるのレビュー一覧
平均評価星数
5.0
投稿者:MEME.さん
きっとみんな、精一杯生きている
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おにいを奪った、夏がきらいだった。ずっと、苦しめられてきた。動けなくて、進めなくて、取り残されていた。だけど、高校最後の夏に、変わったんだ。きみが、大丈夫って言ってくれたから。 まさに青。まさに青春。野球を通して、夏を通しての登場人物たちの葛藤や喜びや輝きが、ひとつひとつ丁寧に、大切に描かれています。きっと、誰もがぶつかったことのある気持ちのかけらを、見つけられるはず。 「あの時は最高に輝いていた」「つらかったけど、精一杯生きていた」。読み終えた後、そんな感情が湧き出してきて、ガムシャラに走ったことを思い出して、涙が滲みました。不器用だけど、それでももがいて生きようとする姿。それを、やさしく包みこんでいく周りのやさしさ。 光乃ちゃんが、朔也くんが、涼くんが、みんなが、必死に走っていく姿を、ぜひ見守ってほしい。季節が変わったらまた読みたい。そんな風に感じられる作品です。
2018/03/03 00:39