⚾ ゜*。+
テーブルの上に横たわるマカロンを、とても不思議な気持ちで眺めていた。
きのう、たまたま和穂とアイスを食べて。そしたらたまたま春日に会って。たまたま紅白試合があるというので、何年ぶりかに野球を見て。たまたま、倉田くんの打球が右肩に落ちてきて……。
その結果がこのマカロン。ずっと食べてみたいと思っていたマカロン。
このカラフルなマルたちに不思議な縁みたいなものを感じている。そんなものを感じてしまうことさえ、なんだか不思議。
「アラッ。それって『マドンナ』のマカロンじゃない?」
大切にケアしている黒髪をバスタオルで包んだまま、お母さんがリビングに現れた。絶対に使わせてくれない高いシャンプーの上品な香りがただよってくる。
「そんなのどうしたの?」
「んー、ちょっとね」
ピンク、イエロー、グリーン、オフホワイト、淡い4つの色がふたつずつ。食べてしまうのがもったいないくらいかわいい。柄にもなくスマホで写真を撮ると、お母さんに笑われた。そんなもの撮ってどうするのって。
どうするんだろう。ちょっと考えて、なんとなく涼に送りつけた。なぜか『笑』とだけ返ってきた。なに笑ってんだ。
お母さんがあたたかい梅こぶ茶を淹れてくれていた。これは、いっしょに食べさせろということだな。
イエローを選んだお母さんに続いてピンクに手を伸ばしたとき、肩からバスタオルがはらりと滑り落ちた。キャミソールから出ている素肌にまだ乾ききっていない髪がくっつく。エアコンで冷やされた毛先は驚くほどに冷たい。
「ちょっと光乃、ソレどうしたの?」
マカロンを食べるのをいったんやめたお母さんが、ぎょっとした顔でわたしの右肩を見つめていた。しまった。けっこうエグイことになっているんだった。
「……あー、うん。ちょっと」
「さっきからチョットばっかりじゃない」
かなり不満げに言われたので苦笑してしまった。
あんまり、野球の話はしたくないんだ。特に家族の前では。
テーブルの上に横たわるマカロンを、とても不思議な気持ちで眺めていた。
きのう、たまたま和穂とアイスを食べて。そしたらたまたま春日に会って。たまたま紅白試合があるというので、何年ぶりかに野球を見て。たまたま、倉田くんの打球が右肩に落ちてきて……。
その結果がこのマカロン。ずっと食べてみたいと思っていたマカロン。
このカラフルなマルたちに不思議な縁みたいなものを感じている。そんなものを感じてしまうことさえ、なんだか不思議。
「アラッ。それって『マドンナ』のマカロンじゃない?」
大切にケアしている黒髪をバスタオルで包んだまま、お母さんがリビングに現れた。絶対に使わせてくれない高いシャンプーの上品な香りがただよってくる。
「そんなのどうしたの?」
「んー、ちょっとね」
ピンク、イエロー、グリーン、オフホワイト、淡い4つの色がふたつずつ。食べてしまうのがもったいないくらいかわいい。柄にもなくスマホで写真を撮ると、お母さんに笑われた。そんなもの撮ってどうするのって。
どうするんだろう。ちょっと考えて、なんとなく涼に送りつけた。なぜか『笑』とだけ返ってきた。なに笑ってんだ。
お母さんがあたたかい梅こぶ茶を淹れてくれていた。これは、いっしょに食べさせろということだな。
イエローを選んだお母さんに続いてピンクに手を伸ばしたとき、肩からバスタオルがはらりと滑り落ちた。キャミソールから出ている素肌にまだ乾ききっていない髪がくっつく。エアコンで冷やされた毛先は驚くほどに冷たい。
「ちょっと光乃、ソレどうしたの?」
マカロンを食べるのをいったんやめたお母さんが、ぎょっとした顔でわたしの右肩を見つめていた。しまった。けっこうエグイことになっているんだった。
「……あー、うん。ちょっと」
「さっきからチョットばっかりじゃない」
かなり不満げに言われたので苦笑してしまった。
あんまり、野球の話はしたくないんだ。特に家族の前では。