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「見ちゃった」


デジャヴ?

ついきのうもこんなシチュエーションがあったなと思いつつ、振り返ってオハヨウと言うと、和穂はニヤニヤしながら同じ挨拶をした。声までニヤついている。


「さっきさっくんに会ったんだけど、スポバに光乃のお守りついてたよ」


そのことか。ちょっと予想はついてた。


ずいぶん前から温存していたどへたくそなお守りは、きのう、バッセンからの帰り際にやっと渡すことができたのだった。かなり勇気がいった。でも朔也くんはやはり感心するほどいい子で、心からうれしそうにしてくれて、逆にちょっと申し訳なくもなった。

もっと上手につくれてたらよかったな。さらっと何の気なしに渡せるくらい。柚ちゃんのに、見劣りしないくらい。


「さっくんかわいいよね。思春期独特の毒気がまったくないっていうか。ピュアだよね」


一連の話を聞くなり、和穂がちょっと笑って言った。まるで自分は思春期じゃないみたいな、年下の男の子を別世界の生き物として見ているって言いぐさ。


「いやあ、でも、光乃がああいう男の子を好きだってのは知らなかったなあ。もっとこう、タカくんみたいな、屈強な男が好みだと思ってた」


和穂は空を見つめながら口を動かし続けた。


「ま、藤本にも同じこと思ってたけど」


ドンドンしゃべるから突っこみが追いつかないよ!

まずおにいは屈強というにはちょっと細すぎる。ぜんぜんデカくならねえって嘆きながらプロテインをガブ飲みしていた男だよ。たぶんあれは『細マッチョ』止まりだ。

いや、それより先に訂正すべきところが、たぶんふたつほどあった。


「涼とのあいだに惚れたとかそういうのはほんとにないんだって」


迷ったけど、後者のほうから訂正することにした。


「えー、ぜったいうそ!」


なんで嘘つかなきゃならないんだ。