勢いに任せて、とうとう好きという言葉を口走ってしまった。
けれど私はもう、そんなことに構っていられなかった。
星岡君は私の体をゆっくり離し、私の泣き顔を優しい瞳で見つめてきた。
「……望月、罪悪感とかそういうの全部取っ払って、聞いてほしい」
夕日が教室に柔らかく差し込んでいる。
もうすぐ引っ越し屋がきてしまうのに、頭の片隅でそんなことを思い出したけれど、星岡君の指が頬に触れた瞬間、そんなこと吹き飛んだ。
「……ずっと言えなくて苦しかったことがあるんだ」
オレンジ色の光が、星岡君の黒くてサラサラな髪の毛を照らし出して、涙の跡が一瞬光って見えた。
「好きだよ、望月。ずっと、伝えたくて苦しかった……」
……好きな人に好きになってもらえたら、どんなに幸せだろうって、三木ちゃんと話したことがある。
きっとそれってとんでもない奇跡で、自分とは縁遠いものに感じていた。