『望月へ
最後に、謝りたいことがあります。
色紙に書いたらかっこ悪いので、ここに書きます。
あの日渡り廊下で野球ボールから助けた時、素っ気ない態度でごめん。
転校したばっかりの時、全然話しかけられなくてごめん。
助けるためとはいえあんなに近づいて、なんかちょっと恥ずかしかったんだ。
あと、体育祭の時も、あんなに頑張ってたのに仕事奪ってごめん。
一生懸命だからなんかほっとけなかったんだ。
それから、夏休み偶然会ったあの日、ダサいところ見せてごめん。
なんか望月の顔見たら、安心して緊張解けたんだ。
それと、無神経なこと聞いてごめん。
俺、鈍くて、望月の気持ち、全然分かってなかったよな』
星岡君の言葉ひとつひとつが、優しい雨のように、胸の中にぽつぽつと振ってくる。
あの日野球ボールからかばってくれた時のこと、覚えてくれていたんだ。
体育祭の時、自分なりに必死に動いていたこと、見ていてくれたんだ。
あの夏休みの日、そんな気持ちで私の前で涙を流していてくれたんだ。
……私の気持ちに、気づいていてくれたんだ。