だって、この世界に優しい人は沢山いて、可愛い子やきれいな子で溢れているのに。

そんな世界で自分を見つけてもらえて、好きになってもらうなんて、とんでもない奇跡に感じていた。


「……望月はもう、俺のこと好きじゃない?」

そう聞かれて、私は首を横に振ったけれど、星岡君はそんな私の頬を伝う涙をもう一度指で優しく拭った。

「……俺、望月のこと、泣かせてばっかだな」

そんなことを切なそうに目を細めて呟くので、胸の中からずっと抱えていた想いがあふれてしまった。



「好き……」



空気をわずかに震わせる程度の、小さな声しか出なかった。

心臓がどきどきして破裂しそう。

好きな人に好きって伝えることが、こんなに勇気がいるんだってこと、知らなかった。