「俺、好きだよ」
「え……」
「だから、トロイメライ。っていうか、俺……君のピアノ、すごく好きだ」
突然の言葉に、はじかれたように顔を上げた。
視線の先にいる彼を見れば、彼はグランドピアノに手を置き、優しく微笑んでいる。
「……っ!」
数秒の間を空けて、私の視線に気づいた彼と目が合った。
吸いこまれるような、ブラウンの瞳。
つい先ほどつかまれた腕が、ジンジンと熱い。
まっすぐに私を見すえ、少しの嘘も混じっていない目で私を見る彼はやっぱり微笑んでいて、それだけで胸の奥が熱くなった。
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