目の前に差し出されていたコウちゃんの握りこぶしが、ゆっくりとひらいた。
「マメ、聞こえなくても、見て欲しい……」
掌には、ピンクのハート形のフェルト。
私がいつかコウちゃんに作ったお守り。
私は、恐る恐る耳から手を外し、そのお守りを手に取った。
不恰好なハートマーク。
毛羽立って、全然かわいくない。
二つ重なったハートを、コウちゃんが、私の掌の中で、ゆっくり開いた。
……そこには、私と、コウちゃんの名前が書かれていた。
「……なにこれ、だっさ……っ」
思わず泣き笑いした。
でも、コウちゃんは真剣だった。