「私は、大学生になったら、コウちゃんの一億倍イケメンな彼氏見つけて、コウちゃんの一億倍幸せな生き方するんだからっ」
「……マメ、聞いて」
「聞こえないっ、コウちゃんの言葉は、もう聞き取れませんっ」
私は、コウちゃんの手を振り払って、両耳を指で塞いだ。
コウちゃんは、無表情だった。
私は、コウちゃんを睨んだ。
睨んだはずなのに、怒ってるのに、じわりと涙が出てきた。
「っ……もう思わせぶりなことしないでっ……辛いからっ……」
振り絞った声は、自分でも驚くくらい震えてしまった。
コウちゃんは、一瞬とても切なげな顔をして、バッと私の目の前に何かを差し出し、頭を下げた。
「……マメ、本当に、ごめん。マメに聞こえなくても、話したいことが、あるんだ」