「コウちゃん、おかえりっ」 これを言わなきゃ一日が終わらない。 笑顔で手を振ると、コウちゃんは暗闇でもなんとなくわかるくらい不機嫌になる。 「それ恥ずかしいからやめろって言ったろ。あと風邪ひくだろ、はよ中入れ」 「はーい」 「おやすみ」 「おやすみー」 ちょっとだけど、コウちゃんの顔が見れて嬉しい。 私は、部屋の中に戻って、窓のカギを閉めようとした。 が、その時、近くにあったゴミ箱から、黒いものが蠢いたのを見た。……見てしまった。 「無理過ぎる!」