「分かってないって」

白い吐息が、暗闇に消えていく。

「マメ、ここじゃ風邪ひくから」

「分かってないって!」


震えた肩に触れたコウちゃんの手を、反射的に振り払った。


「分かってないんだよっ……コウちゃんは……!」



―――言葉と一緒に、涙があふれた。


ずっとずっとずっと、胸に秘めてきたことが、桜の木の下で、爆発した。


コウちゃんは、私の涙にひどく困惑していた。

それでもかまわず、言葉は堰を切ったようにあふれでた。



「分かってないよ、コウちゃんは……。中学生の頃から、ずっと自分の気持ちだけ分かってない」

「マメ……?」

「玲子先輩が、今でも好きなんでしょう……?」

「え……」