梨子が本気で心配してるんだけど、と怒った。
でも私は、また笑って、『ありがとー』と言った。
「コウちゃんにはさあ、幸せになってほしいよね」
「……マメ?」
「本当に好きになると、本当にそう思えるんだねー」
「……マメ、」
「ごめんね梨子、あと2日だけ待ってね。そしたらね、梨子だけに聞いてほしいこと、沢山あるの」
「……」
「あとお願いなんだけど、今日だけお家、泊めてもらえないかな……」
***
自宅まで続く桜並木を見ると、いつもあの日のコウちゃんとの出来事を思い出す。
私は、裸の桜の木を見上げながら、ふうっと夜空に白い息を飛ばした。