「落ちんなよマメ助」

「マメ助じゃない」

「そういうのは聞こえるのなー」


まだ真新しいコウちゃんの中等部の制服に腕を回して帰ったあの日。

あの日から、急に視界がクリアになって、今まで通り友達の言葉が聞き取れるようになった。


殆ど散った桜の木の下を、コウちゃんと一緒に通り過ぎて、

少し広くなったコウちゃんの背中に頬を寄せて、

そしたら、コウちゃんの匂いがふわっと香って、

折角泣きやんだのに、なぜだかまた泣きそうになってしまって、




何度も胸の中で唱えた。

あなたが好きだと。