「だったら、マメのこともよろしくな」

「……えー」

「無視するって、あとで胸ん中モヤモヤすんだろ?」

「……うん」

「無視されたら、ちいのモヤモヤの千倍モヤモヤするんだ」

「モヤモヤ……」

「ちいは、それがどれだけ悲しいか、分かってあげられるだろ?」


……深く帽子をかぶって、必死にこらえていた涙が、ぼろっと溢れだした。

恥ずかしいのと、安心したのと、嬉しいので、喉の奥の奥から、涙がこみ上げてきた。


「マメ、今日は一緒帰るぞ」

「……」

「聞こえてるか」

「……」

「……よいしょっ、と」


コウちゃんがわたしを抱き上げて、自転車の後ろに乗せた。