「しょうちゃんはドーナツ食べないでよかったの?」
「こんなクソあちぃときに甘いもんなんか食えねえよ」
「えー、暑いときのほうが甘いもの欲しくない!?」
早く食えって言われてるのにしゃべり続けてしまう。その大きなたれ目がくしゃっと小さくなっているから、どうにも舞い上がってしまう。
しょうちゃんの笑いじわ、いいな。深くて大きい笑いじわは、これでもかってくらい笑って生きていないとできないものだね。
しょうちゃんは、すぐに怒るけど、それよりもたくさん笑うね。きっと怒りたいときに怒って、笑いたいときに笑いながら、嘘なんかひとつもつかずに生きているんだ。だからいま笑ってくれているのもきっと全部ほんとの気持ちだ。
「みっちゃんなんか、こないだいっしょにファミレス行ったとき苺パフェ頼んだんだよ。わたしはアイスカフェラテだったんだけど、そしたら店員さんが当たり前みたいにわたしの前にパフェ置くの。だってそうだよね、男子高生が苺パフェで、女子高生がカフェラテって組み合わせのほうが、絶対めずらしいもんね」
「ああ? いっきにしゃべんなよ」
しまった、調子に乗ってしゃべりすぎてしまった。あきれた顔されてる。
「まあ、たしかに、ミツはかなりの甘党だよな。たまにキモチワリィ」
ああ、やっぱり一度3人で話してみたい。みっちゃんしか知らないしょうちゃんと、しょうちゃんしか知らないみっちゃんの話を聞いてみたい。
やっぱり、きょう、みっちゃんも連れてきたらよかったかなあ。なんか知らないけど嫌がるんだよなあ。



