長いようで短かった3泊4日を終えて、九州大陸から日本列島のどまんなかへ帰ってくるころになると、みんなほとんど死んだような顔つきになっていた。疲れきった顔。眠たそうな顔。一生分の体力や精神力を使いきったんじゃないかってくらい。

わたしも死にそうだ。それなりにはしゃいだってのもあるし、4日間も他人といっしょに生活するストレスも少なからずあった。

でも、なによりも、ミキとナミとで過ごす3人の時間はやっぱり苦痛だったよ。旅行のあいだはほとんど3人でいっしょにいたけど、後半は、ちゃんと笑えていたのかもわかんない。


あの日――血の気の引くような光景を目撃してしまったおとといの夜、結局眠れなかったわたしは、朝までホテルの窓際ぼんやりしていた。

ナミは朝方に帰ってきた。便秘がひどくてと、困ったように笑いながら言ったナミの顔を見て、寒気がした。きょうだけじゃなかったんだ、きのうも、会っていたんだ。それでもなにも聞かないでおこうと決めたから、わたしはなんでもなく、そうなんだとだけ答えた。


これからどうなるんだろう。ナミも、畑山くんも、どうするんだろう。どういうつもりなんだろう。

ふたりは真剣に好きあっているのかな?
それとも、遊びの恋を楽しんでいるだけなのかな?

前者でも後者でも誰も救われないよ。ふたりが裏切ってるって事実を知ったら、ミキは怒るんだろうか。それとも泣くかな。

どっちにしろ、ひとりの女の子がズタズタに傷つくことは間違いない。ひとつの恋が終わることは間違いない。そして、もしかしたら、ひとつの友情だって終わってしまうのかもしれない……。


気分が悪かった。不愉快だってほうじゃなくて、ほんとに体調が悪かった。

家の方向がそろって違うミキとナミとはすでに別れ、帰り道の途中。本当はみっちゃんと帰ろうかとも思ったんだけど、ぜんぜん気分が乗らなくて、きょうは久しぶりにひとりで家路をたどっている。